「電子ピアノ」をお持ちで、「アコースティックピアノ」(ホンモノピアノ:以下ピアノと書きます)に買い替えしようか考えていらしたり、どちらを購入しようか迷われている方から、よくお問い合わせ頂くので書いてみました。
講師かなざわの、こんな経験があります。
かなざわは、音大を出てから都内の一般企業に就職しましたが、その頃ピアノに希望を失っていたため、ピアノのないアパートに住むことを決意しました。賃貸料金が安かったからです。
しかし、3ヶ月ほどしてピアノがない生活に辛さを感じる自分に気づきます。
そんな自分に気づいた1ヶ月後、耐えきれなくなってアップライトピアノの置けるマンションに引っ越し。
そこは、朝10時〜夜19時までしか音を出してはいけないマンションだったため、仕事を終えて帰ると、結局ピアノを「ナマ」の状態で触ることはできず、サイレント機能をつけヘッドホンで弾く毎日となりました。
でもこの、「本当は自分が出しているのではない機械の音」に違和感を感じ、ほとんど練習しなくなりました。
その結果、ついに就職から4年目ほどで、グランドピアノの置けるマンションに引っ越し・・・。チーン(T_T)
強く感じたのは、私はピアノがないとやっぱり生きていけないんだということと、いわゆる「機械の出すピアノの音」の表現力の狭さでした。
利便性は圧倒的に電子ピアノ
近頃の住宅の事情、親御さんのお仕事などの帰宅時間などを考えてみれば、電子ピアノは本当に便利です。
置くスペースというよりは、音の問題のほうが深刻のように思います。
もし、お子さんに練習をさせたいけれども親御さんのお帰りになる時間が遅いなどで、夜遅い時間に練習せざるを得ない場合で、お部屋に防音機能などを施すことが難しいお宅の場合には、電子ピアノを考える他ないと思います。
行田教室のかなざわの自宅のような、田舎すぎて、防音しなくても周りに家がないから迷惑にならない、という家はまれですしね・・・。
音の違い
どのような目的にするかで選んでください。
- クラシック音楽を上手に弾きたいのであれば、確実にピアノ。
- クラシック音楽はほどほどでよく、それ以外のジャンルのご自身の好きな曲を、なんとなく弾ければ良いということであれば、電子ピアノ。
クラシック音楽というのは、ピアノで弾くことを想定して書かれています。電子ピアノで演奏されることは考えられていません。
電子ピアノの音の表現力が、ピアノとだいぶ違う理由はいろいろありますが、ここではそのうちの1つを書きます。
「倍音」です。
上の楽譜を見てください。
一番下のヘ音記号の「ド」の音、これをピアノで鳴らすと、それ以外に書いてある上の音が全て、かすかに鳴り響きます。
これが「倍音」です。
クラシック音楽の作曲家は、こういう音が鳴っていることを想定して曲を作っていました。
そして、「倍音」を美しく鳴り響かせることができると、
『音がクリアで美しい』
ことになります。
同じ演奏を聴いていても、なんかこの音は美しくないなと感じたりすることがありますよね。
それは、倍音がよく鳴っていないからそう感じるのです。
電子ピアノにおける倍音
現在は、製造メーカーが苦心して電子ピアノをピアノに近づけようとしているので、電子ピアノも倍音が鳴る設定にはなっているのだそうです。
でも、ピアノにおける倍音と違うところは、誰がどのように弾いても同じような倍音が鳴ることです。
つまり、弾き方を変えても、出てくる音が変わらないのです。
弾く人によって、弾き方によって音色が全く違うピアノ
究極に脱力した、ラクな状態、そして適度なテンションでピアノを弾く場合、倍音が美しく鳴り響き、あらゆるものに共鳴し、なんとも言えないきらきらした音になります。
逆に、力んだ状態で弾くピアノは、倍音がうまく鳴らず、響かない音になります。
名ピアニストは、倍音を美しく鳴らすことができます。
曲にすぐに飽きてしまうのは、楽器の表現力の狭さのせいかもしれない
当教室のレッスンは、楽譜をみて弾くということの他に、倍音を鳴らし、美しく響かせるためのからだの使い方を学びます。
ですが、教室のピアノではそれが表現できても、おうちに帰ってそのように演奏しようとした時に、楽器がそれに答えてくれないとすると、弾いている本人はどんな感覚になるでしょう。
つまらないですよね。
そして、なんとなく全部弾ければ、「弾けた」と思うようになります。
ピアノだったら、まだまだいろんな表現ができるけど、自分の楽器ではそれができないからです。
一回なんとなく弾けるようになると、その後すぐに飽きてしまう生徒さんがいますが、子供の特性や本人の性格だけではなく、楽器にも一因があるのではと思うことがしばしばあります。
どんな特徴があるか理解して選ぶことができればOK
ピアノと電子ピアノの歴然とした差は、その表現力にあります。
本人の能力をできるだけ高めて、クラシック音楽を美しく弾きたい、弾かせたいと思う場合には、間違いなく「ピアノ」です。
音楽を楽しむ、という目的のみにとどまるのであれば、「電子ピアノ」で十分でしょう。
ご自身やお子さんの置かれる環境により、電子ピアノしか選べないということもあると思います。
ピアノだからこそ味わうことのできる本当の楽しさを知っているものからすると、やはりピアノを選んでもらいたいと思ってしまいますが、どちらを選ばれても、当教室の講師は生徒さんを全力でサポートします。
でもでも、現在電子ピアノをお持ちの方も、いつかぜひホンモノピアノを・・・。
かわいいプレゼント
きょうだいで習っている生徒さんから頂きました。
「作ったので食べてください。」美味しいクッキーでした。
学校がある日は忙しくて、こんなことはあまりできないけど、春休みっていいですね。
のんびりしながら、いろんな経験をしてほしいです。