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ピアノの練習のさせ方

練習のさせ方について生徒さんの親御さんからご質問がありました。それについて書いてみたいと思います。

上の画像:自閉症小学5年なおき作(にゃんこ大戦争より)

私のブログを読んでくださっている生徒さんの親御さんから練習についてのご質問がありました。

 

ちょうど新年度が始まる、気持ちを新たに何かを始める時期でもありますので、お子さんの練習のさせ方について書いてみたいと思います。

 

『(私のブログを読んで)無理をさせないようにとやってみましたが、そうすると練習につながりません。どのようにしたら良いでしょうか。』

 

という主旨でした。

 

私は「無理をさせてはいけない」というのをブログで連呼しています。

無理をさせている、の定義を私は

 

■嫌だなと感じているのにやらせる

■痛い、辛いのにやらせる

 

と考えています。

不快感がそこにあるかどうかというイメージです。

 

なぜなら無理をさせたくない要因が、『不快感による筋肉の不適切なクセがつくのを防ぎたい』というところにあるからです。

 

このクセがつくと長い人生を見たときに、思考、動きの限界を自ら作り出したり、体の不調を生み出したりします。

 

では無理のない練習ってどんなもの?

 

子供が自力でピアノを練習するのは不可能です。

最初のうちは、「練習しよう」という声がけも、どのようにピアノを弾くか、という練習の方法についても一緒にしていただくことが必要になります。

 

まずは、毎日声をかけられるのか、特定の曜日なのか、お仕事がお休みの日だけなのか、など何となく決めましょう。

 

また、どうしても『子供がやらない』という視点になることが多いですが、ピアノの練習は職人技を習得するための修行と考えてください。

 

地味な修行を子供のうちからをやりたいと自ら思うのであれば、それは天才です。

 

子供は練習はしない生き物、でも声がけや環境によってはするかもしれない、という風に、練習しないところから出発すると負担が少ないかもしれません。

 

私がいつも言っている『無理にピアノをさせる』とは、「ピアノをやろう」と声をかけた、『その先』にあります。

 

◉声をかけられた時の子供のよくある反応

聞こえないフリをする。

これが終わったらねと言いながら終わってもやらない。

親の注意を他のものに向けようと話題を振ったり、ふざけたりする。

 

まれに、「はーい」とすぐに応じてくれる子供もいますが、それは天使です!

天使が舞い降りたと思ってください。

この時点で応じてくれるなら、どこも無理強いはしていません。

これ以上読む必要はありません笑

 

無理をさせる可能性が出てくるのは、ここから先です。

上の「よくある反応」をされると何度も声をかけることになると思います。

 

時間をおいて2回までは声をかけても大丈夫です。

やると言いながら本当に忘れてしまう場合もあるし、2回くらいだったら嫌な気分にはギリギリならないからです。

 

この声がけでやらない場合には、その日は見送りにします。

(見送りが続く場合にはご相談ください)

 

声の掛け方については『5時にピアノをやる』と決めておいて「5時です!」と声をかけたり、アレクサなどに「5時です、ピアノの時間です」とか言ってもらうのもいいと思います。

 

ちなみに声がけは「練習したの?」と言われると嫌な気分になります。言い方にもよりますが。

「練習しよう」とか「ピアノが聴きたいな」などにすると全く気分が違います。

 

ここまで書いていて早々に「めんどくさ!!」と自分で思ってしまいました。。。

そう、面倒なんです。

でも面倒と思っているのは子供も同じかもしれない。

 

お互い面倒なら、やめた方がいいんじゃないだろうか。

そう思う方もいらっしゃると思います。

やめてもいいんです。

 

でもそれでも、あの美しい城に辿り着きたいと思うなら。。。

(漫画ベルセルクより)

 

『練習はお家ではしない。レッスンの時は弾く。』という方法で続けていらっしゃる生徒さんもいます。(逆もまれに。。。)

 

多くの親御さんは、この取り組み方では満足されないのですが、私は良いと思っています。

進度はゆっくりになりますが、継続していただければ結果はついてきます。

 

大人の生徒さんで、この方法の方もいらっしゃいます。

大人は練習しなくても怒られないし、練習しなくてもやめさせられたりしないのです。

 

このような非常にゆっくりとした取り組みでも、高校やそれ以上になった時に、続けていない人より明確な差があり、音楽というものが人より格段に近い存在となっていることに気づくことになるでしょう。

 

今回スポットを当てた部分は、練習のほんの一端に過ぎません。

あまりにも生徒さんによって違うので、困ったらぜひお気軽にレッスン中に声をかけて欲しいです。

 

何か無理をさせて、将来痛みや限界を感じる人には育てたくありません。

私はピアノへの取り組み方が悪かったために自律神経がボロボロになりました。

 

運動したくても、四六時中感じる疲れと起立性障害のためヨガさえできず、しかし運動せずにいると体中に痛みがありました。

 

だから寝ていてもできて、楽な『フェルデンクライスメソッド』を始めて、ようやく三点倒立もできるような元気な体に戻ってくることができました。

「今」を犠牲にして得た能力のつけは、必ず後に回ってきます。

 

今を大切に、でもあの美しい城に辿り着くために!そう思って継続してくださる親御さんを心から応援しています。


ショパンの前奏曲を譜読み中の高校1年生

継続と忍耐の結果、素晴らしい音楽を奏でるようになった高校1年生。

これはショパンの前奏曲を試し弾きしている最中です。

 

彼は小学3年生から当教室でピアノを始めました。

多感な思春期にはお家での練習が難しいこともありました。

受験期には、レッスンを月1回にして続けました。

 

最近は、毎日のようにピアノを弾いているとお母さんから伺っています。

 

高校時代はピアノが最もと言って良いくらい上達する時期。

彼の忍耐力、親御さんの忍耐力に拍手です。