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2022.9.25コンサートの報告

去る9月25日に花久の里音楽サロンにてコンサートを開催しました。報告です。

コンサートプログラム

9月に咲くコスモスを背景にしてみました。

コンサートによせて(プログラム掲載文)

 

本当に、だんだん悪くなってゆくんだ。たびたび天に向かって嘆きながら尋ねるんだ。

神様、一体この私に何をなさったのですか?

 

上の言葉は、音楽史上で最初のジストニア患者であるシューマンによるものです。

 

名曲『トロイメライ』などの作曲者である彼は、自身の日記にジストニアにかかった苦悩を何度も記しています。

 

 『フォーカルジストニア』は治療法が確立されていない脳神経の難病です。

スポーツの世界ではイップスと呼ばれ引退することを余儀なくされたプロの選手も非常に多く、最近になってようやく知られるようになってきました。 

 

私は10年前にこの病気にかかり左手が不自由となりました。

しかしリハビリで出会った『フェルデンクライス』という動きのメソッドにより症状が劇的に改善しました。

完治とはいきませんが、体全体を調和させて使うことで到底弾けないと思っていた曲が弾けるようになってきました。

 

絶望的と感じたところから、自分で変化させることができるのだと希望に満ち溢れた感覚だったのを覚えています。

 

 フェルデンクライスは、脳の可塑性(変化し得る性質)を利用しています。

脳の可塑性を利用すれば、今まで治療不可能と言われていた症状も改善する可能性があるのです。

 

私の息子は自閉症の診断があります。脳神経に何かがある私と、大きく括ると同じです。

 

そんな彼は『障がいの状態は固定されたもの』とした一般的な考え方を超えて、ボルダリングを始めとした様々なスポーツを習得し、親を論破するほどの知性を持つようになりました。

 

彼にはフェルデンクライスを始めとした脳の可塑性を利用した様々なことを施してきました。可塑性を利用する、とはその人の本来の力を呼び覚ますということだと理解しています。

私のジストニアと同様に息子の脳も良い変化を続けています。

 

 運動能力の向上や不器用さの改善は子供にとって大きな助けとなります。動きを組み立てていくときに使う脳のプロセスと、考えている時に使う脳のプロセスは同じであるからです。

したがって動きの質の改善は、子供の知性の向上にもつながります。

 

ですから何か気になることがある子供にこそ、動きを伴う習い事が必要です。

 

そうしたことから私は、障がいの診断のあるお子さんも、ないお子さんも区別なく利用できるピアノ教室を始めました。

上手くなることには目的を置いていません。

人生の質の向上を目指すことを信念にしています。

 

ジストニア症状を自覚して間もない頃、今日の奏者の清水彩子さんと話をしたことがあります。

「また一緒に合わせができたらいいね。」

それは一生不可能かもしれないなと当時はぼんやりと思いました。しかし10年が経ち、不可能が可能になろうとしています。

 

皆様の大切な時間にほんの少し色づきをもたらすような、そんなひと時となれば嬉しいです。


実は、この日の1ヶ月前から人生最大級に体調を崩しました。

結果的には逆流性食道炎だったのですが、毎日のようにひどい二日酔いの気分で食べても吐いてしまう。。。

まだ仕上がっていない曲がたくさんあり練習したいのに楽譜見ただけで「うえ〜」という始末でした💦

 

コンサートの1週間前の体重とコンサート当日の体重を比べて見ると、なんと5キロ減。

こんなに短期間で痩せたの初めてです。

 

コンサート5日前には「このままでは死んでしまうから入院したい」と夫に言っておりました〜笑

 

絶不調という地獄を見たことで、なぜ私の体調が良くならないかようやく見つけることができました。

からだの全ての臓器と栄養面の研究をとことんやり、実際体で試していきました。

おかげで今の体調は人生の中で一番良いくらいに。(知りたい方は質問してくださいね。)

 

逆流性食道炎は無くなっていきましたがピアノの練習に手をつけるどころではなく。。。

楽譜は何とか見ることができたので、ピアノは弾かずに3日間はイメージで練習しました。

 

そして迎えた本番は「まあ練習不足だな」というところはたくさんありましたが、あっという間に終わりご来場いただいた皆さまには満足いただけたようです。

良かった。

 

感想はこんなものをいただきました。

 

◉ピアソラが良かった(小学3年生男子)

◉ムーンリバーを聴いた時には涙が出そうになりました。(生徒さんの親御さん)

◉とても素敵で満足できたからか、その日はいつもよりぐっすり眠れました。(生徒さんの親御さん)

◉めちゃくちゃ良かった、ぜひ動画などアップしてほしい。

◉また次回も行きたいので誘ってください。

◉音大生とは別格のプロの演奏で、ここまで良いとは正直思ってなくてびっくりした(音大生)

 

最近は動画で何でも聴けてしまう時代ですが、生演奏は動画とは全く違うものです。

私たちは「感覚」を通して学びますが、生演奏がもたらす情報量は動画とは別格です。

 

昔から、「演奏を上達させたいなら生演奏をとにかくたくさん聴きに行きなさい」と言われます。

それは科学的にも理に適ったことです。

 

生演奏を聴いただけで自身の演奏が上達するのは、日頃味わうことのないダイナミックな情報が「感覚」を通して入ってくるからです。

 

生徒さんにもいらして頂いていましたが、その後のレッスンは練習をするしないは別として音が美しくなっていたり、硬い印象だったのが自然な柔らかい動きになっていたり、表現力が増したりしていました。

 

やはり生演奏はすごい。生演奏は感覚の識別能力を上げます。

 

次回いつになるかわかりませんが、演奏を上達させたい方はぜひいらしてくださいね笑

当日の演奏(13曲中の2曲)

星に願いを


荒城の月によるファンタジア

指導にあたって

当時、講師かなざわの1歳の息子がピアノで楽しそうに遊ぶ姿に感激しました。これは、その当時のかなざわにとってピアノは『楽しい』ものではなくなっていたからです。

 

人は本来、ピアノが楽しくないとか苦手だとは思いません。しかし、ピアノが苦手で楽しくないと感じ、結局は諦めてしまう人は多いのが現実です。それを変えたいという思いが、ピアノ教室を立ち上げる原点となりました。

 

お子様にピアノを習わせたい親御さんや、自分自身がピアノを学びたいと思っている大人の方々は、レッスンに何を期待されていますか?

私がピアノを習っていた当時は「上手い」ことが全てでした。

それは音大に入っても変わりませんでした。

 

しかし社会に出て「上手い」人に価値があるというわけではない、ということがわかりました。

それはとてもショッキングなことでした。

そこにたどり着けば上手くいくものだと思って努力していたからです。

これは勉強,就職に対する考え方と同じだと思います。

 

『上手い』演奏は目指しません。

ピアノレッスンそして練習というプロセスを通して『質の良い学び方』を学びます。

「結果」は、『学んだ』後に勝手についてきます。

練習、学びの質が良ければ自然と「上手い」演奏になるかもしれません。

 

 私が準備できるのは、まずは何度でも間違えられる、どのような弾き方でも批判を受けない、つまり「安全だ」と感じる環境を作り生徒さんが本来の力を出せるようお手伝いをすることです。

音楽は非常に歴史が深く人間の叡智が宿っています。

それを演奏する楽しさというのは格別です。

しかし、やり方を誤ると体を傷つけます。

 

私自身が、小学校高学年の頃から体の痛みに苦しめられることになりました。

30代を過ぎてからは治療法の確立されていないフォーカルジストニアという脳神経の難病を発症しています。

痛みや病気の発生はその取り組み方にありました。

 

努力や根性、厳しい訓練がもたらす弊害を、ジストニアをきっかけに始めたメソッド「フェルデンクライス」から学びました。

フェルデンクライスは脳の可塑性を利用した科学的なメソッドです。

動きを通して脳を活性化します。

 

根性論でなく、何か有名な教育書に書かれているからでもなく、ただ脳がどのようにしたら活性化するのか、よりよく学べるのか、それをフェルデンクライスは体験をもとに気づかせてくれます。

 

私の指導の源はそこにあります。

指導とは、その演奏を成しとげるための『新しい選択肢』を提示するものです。

『理想』はおしつけません。

一人ひとりに寄り添い、 その人らしい演奏を尊重します。

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