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ショパンコンクール優勝のブルース氏のインタビューから

ショパンコンクールで優勝したブルース・リウ氏のインタビューから「学び方」が見えてきます。

動画は優勝したブルース・リウ氏。

彼は、かつて同じショパンコンクールで優勝したダン・タイ・ソン氏の弟子です。インタビューで語っている、ダンの教え方、ブルースの考え方から見えてくるものがあります。

 

──ダン・タイ・ソンさんの音楽性とは全く違うタイプだというのもおもしろいですね。

 

:ブルース

個性を伸ばすのがうまい先生なのだなと改めて思います。

そこがまさに、僕がダンをすばらしい先生だと思う理由です。彼はとてもフレキシブルなので、生徒たちがみんな彼のようになるということは、絶対にありません。

 各人が持つ本質は、みんな異なります。ダンはそれを磨き上げ、 それぞれの生徒が本質を表現するために最も説得力のある方法を見つけてくれるのです。これはとても重要なことで、だからこそ、僕は彼のもとで学ぶことを楽しめているのだと思います。

 

 ダンはすばらしい演奏家であるだけでなく、人間としてもすばらしく、僕たちはまるで良い友達同士みたいな関係なんですよ(笑)。音楽の話だけではなく、人生とか、あとは小さなこと……例えばどこのレストランがおいしいとか、安いチケットがどこで買えるとか、新しいスーパーで売っていたこの果物が美味しいから食べてみてとか、そんな話までするんです。

 でもそもそも、音楽は人生から生まれるものですからね。全部そこから来ている。そういう話をするのは当然です。

 

  これからも同じように、できるかぎり穏やかで、誠実な自分でありたい。決してイライラしたり、自分で自分をスターだなんて思うような人にならないように気をつけたい。これは、音楽にとってもすごく大事なことです。

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コンクールなどで、子供が目に付く特徴的な弾き方をしていることがあります。

しかもそっくり同じ弾き方の子供をたくさん見るのです。

先生の動きを一生懸命真似をして練習するとそのようになります。

 

大手の様々なピアノ教室が「〇〇システム」などと何となく魅力的に感じる指導法を謳っているのを見ることがあります。

みんな異なるのに、なぜ同じシステムに収まるのか。

違うからこそ演奏は面白いのに、なぜ同じ方法で指導するのか。

指導の一律化などあり得ないということを実証しています。

フェルデンクライスメソッドのフェルデンクライス博士はこんなことを言いました。

人に手で触れる時の、タッチについてのコメントです。

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その人を治そうとか、押そうといった意図がなく、

その人がその人らしくあるように、

それ以上のものを何も求めず、何かを得ようともせず、

ただその人とより良いコンタクトを取れるよう、

真の友人のように触れたら

(その人の神経系は最高の組織化をすることになるだろう)

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真の友人、という言葉が出てきますが、ダンとブルースの関係も似ています。

先生が偉い、というのではなくお互いを尊重した友達のような関係性、それが生徒の能力を高めます。

 

そして、ダンは自分の考えを押し付けるようなことはしなかった、まさにその人らしくあるように導いたのです。

 ショパンコンクールは世界最高峰のピアノコンクールですが、そこで優勝するような実力の持ち主がどのような教育をうけ、どのような考え方をしているのかには興味がありました。

私の目指している指導と重なっていたので、再確認した思いでした。

 

努力、頑張った、目標といったコメントは見受けられません。

(目標は微かに定めるのは良いですが、それにしばられてしまうと自分の可能性を封じてしまいます。)

 

楽しく快適に遊びながら、でも時々ちょこっと緊張したり。。。を繰り返しながら螺旋を描くように人の脳は発達します。


ブルース・リウ氏の師匠「ダン・タイ・ソン」の演奏

手がむちゃくちゃ柔らかいのが見えますか?

私の大好きなピアニストの1人です。

 

ダン・タイ・ソンは、ベトナムの首都ハノイの出身です。

彼がピアノを学んでいた当時、ベトナムは、戦渦の只中にありました(ベトナム戦争)。

戦時中、防空壕での生活を続けることを余儀なくされるなど、ピアノを練習できる状況ではなくなったときに、 彼は紙の上にピアノの鍵盤の絵を描いて練習していたそうです。

 

1977年からは、祖国ベトナムを離れて、旧ソ連の名門モスクワ音楽院に留学することになります。

恵まれない環境であったにもかかわらず、ショパンコンクールで東洋人初の優勝に輝いたことは、世界中の人を魅了する伝説として語り継がれています。

指導にあたって

当時、講師かなざわの1歳の息子がピアノで楽しそうに遊ぶ姿に感激しました。これは、その当時のかなざわにとってピアノは『楽しい』ものではなくなっていたからです。

 

人は本来、ピアノが楽しくないとか苦手だとは思いません。しかし、ピアノが苦手で楽しくないと感じ、結局は諦めてしまう人は多いのが現実です。それを変えたいという思いが、ピアノ教室を立ち上げる原点となりました。

 

お子様にピアノを習わせたい親御さんや、自分自身がピアノを学びたいと思っている大人の方々は、レッスンに何を期待されていますか?

私がピアノを習っていた当時は「上手い」ことが全てでした。

それは音大に入っても変わりませんでした。

 

しかし社会に出て「上手い」人に価値があるというわけではない、ということがわかりました。

それはとてもショッキングなことでした。

そこにたどり着けば上手くいくものだと思って努力していたからです。

これは勉強,就職に対する考え方と同じだと思います。

 

『上手い』演奏は目指しません。

ピアノレッスンそして練習というプロセスを通して『質の良い学び方』を学びます。

「結果」は、『学んだ』後に勝手についてきます。

練習、学びの質が良ければ自然と「上手い」演奏になるかもしれません。

 

 私が準備できるのは、まずは何度でも間違えられる、どのような弾き方でも批判を受けない、つまり「安全だ」と感じる環境を作り生徒さんが本来の力を出せるようお手伝いをすることです。

音楽は非常に歴史が深く人間の叡智が宿っています。

それを演奏する楽しさというのは格別です。

しかし、やり方を誤ると体を傷つけます。

 

私自身が、小学校高学年の頃から体の痛みに苦しめられることになりました。

30代を過ぎてからは治療法の確立されていないフォーカルジストニアという脳神経の難病を発症しています。

痛みや病気の発生はその取り組み方にありました。

 

努力や根性、厳しい訓練がもたらす弊害を、ジストニアをきっかけに始めたメソッド「フェルデンクライス」から学びました。

フェルデンクライスは脳の可塑性を利用した科学的なメソッドです。

動きを通して脳を活性化します。

 

根性論でなく、何か有名な教育書に書かれているからでもなく、ただ脳がどのようにしたら活性化するのか、よりよく学べるのか、それをフェルデンクライスは体験をもとに気づかせてくれます。

 

私の指導の源はそこにあります。

指導とは、その演奏を成しとげるための『新しい選択肢』を提示するものです。

『理想』はおしつけません。

一人ひとりに寄り添い、 その人らしい演奏を尊重します。

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