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【非】効率な学びの方法、それは『反復』である!

生徒さんから聞いた夏休みの宿題について仰天しました。英単語を20個ずつ書いてくるのが宿題だそうです。。。

この宿題を出した先生は、恐らくお勉強が苦手でしょう。

もし苦手でないとするならば、何かを学ぶときに、かける必要のない莫大な時間をかけて覚えている方でしょう。(それを得意というのか苦手というのか。。。)

 

何かを学ぶときに、私達は脳を使っています。

脳が何を好んで何を好まないか、何をもって活性化するのかを考えると、いかにこの「反復」による学びが非効率であるかがわかります。

科学が教えてくれること

脳科学者の研究チームがラットを4つのグループに分け、異なる活動をさせる実験を行いました。

  1. 強制的な運動をさせる(毎日決まった活動をさせる)
  2. アクロバット(バラエティに富んだ障害物のある複雑なコースを与えて活動させる)
  3. 監禁(運動の機会をほとんど与えない)

研究チームが神経細胞をつなぐシナプス(上の画像がシナプスです)の数を導き出したところ、シナプスが多かったのはバリエーションを経験した「アクロバット」のグループでした。

また、ニューヨーク大学教授(メリッサ・シリング)の研究チームが、学習の効果について調べる研究を下記のようにしました。

  1. 囲碁だけを学ぶ
  2. 似ているゲームのオセロを同時に学びながら囲碁を学ぶ
  3. 無関係のカードゲームを同時に学びながら囲碁を学ぶ

結果は、1と3の学習率が同じだったのに対し、関係のあるバリエーションをとりいれた2のグループは学習が有意に速いというものでした。

 

この結果から考えられるのは、学ぼうとすることに関連するバリエーションをもった取り組みが、その学びのために役立つさまざまな経験と情報を脳に与えたということです。

 

一方で、ある学習目標に焦点を絞って同じことの「反復」によって学ぶ方法は、脳の力を制限したと考えられます。

 

英単語をただひたすらに書き続けるなど、「百害あって一利なし」と言ってもいいでしょう。

ピアノへの応用

学ぶ際に、そのことと関連のあることで変化をつけていく、というのが良い方法です。

 

ピアノであれば、リズムを変化させる練習というのは昔からあります。

この脳の性質を利用して、みんな何となくやっていたということになりますね。

 

一拍目にアクセントをつけるなど、よくある練習方法ですが、これも変化をもたらす一つの良い練習方法です。

 

もちろん、リズムにしてもアクセントにしても、反復したら反復練習になってしまいますが。

 

とにかく、変化をつけて練習することが大切です。

もし変化をさせず、ただ時間ばかりをかけて100回以上反復練習したとしたら、1ミリも上達していないばかりか、よくない癖を身につけて下手になってしまっていることもあります。

 

リズムやアクセントによる変化の他には、

  • 歌を歌いながら
  • 音を極端に大きくする、小さくする
  • ものすごく速く弾く、遅く弾く
  • きりのいいところから弾くのではなく、いつもと違うところから弾きはじめ、いつもと違うところで演奏をやめてみる
  • 指番号が12345というところがあれば、それを逆に54321と弾いてみる
  • 最後の小節から遡って始めの小節に戻るように弾いてみる
  • 目をつぶって弾く
  • 立って弾く

など、無数の変化をつけることができます。

 

レッスンでは行っているし、そのように練習しようねと声がけをしますが、本当にこのような練習方法ができる人は一握りです。

なぜかみんな「反復」練習が好きです。。。

 

変化をつけた練習ができれば、短時間で効率よく上達できるのですが、わかっていてもなかなかできないことのようです。

 

先述したメリッサ・シリング教授は、学習に関する調査研究について、

「学ぶ対象を特化『一つの対象のみを学ぶ、変化をつけない』するときに、学習成果が最大になるという前提にたったものが多い」

と指摘しています。

 

私達が受けている(受けてきた)教育そのものが「反復」を好んでいるため、そのようになってしまうのかなと考えています。

フェルデンクライスだと

フェルデンクライスの動きは、似たものはあっても同じものはありません。この脳の性質を充分わかっているからです。

なので、一生かかってもやりきれないくらいの数千種類の動きがあります。

 

 最初の実験でラットに様々な障害物を与えたときに神経細胞をつなぐシナプスが増加したように、フェルデンクライスの様々な動きを行うことで、同じ効果(シナプスの増加作用)があります。

端的に言うと、頭がよくなります。

 

講師かなざわはほぼ毎日30分程度のフェルデンクライスをやり、ピアノは実はほとんど練習していません。(週に1〜2時間程度。。。)

 

でも学生のときよりも、はるかにピアノの上達度や譜読み能力は高いのです。

 

一日10時間など練習していた学生の時の自分が本当にアホで、タイムマシンにのって過去にさかのぼりたいと切に思う有様です。。。(だれかフェルデンクライスを教えてあげて!)

 

フェルデンクライスを使わなくてもよいですが、「楽に学ぶ」方法が誰にでも存在することを、ぜひ覚えておいてほしいなと思います。


生徒さん募集&空き状況について

レッスンの空き状況を更新しました。

 

行田教室かなざわの担当する『月3回コース』は定員になり、募集を終了しました。また空きがありましたら、お知らせいたします。

1レッスンコース及び身体の調律コース、また館林教室については下記の通り募集を継続しています。

 

以下、2018年8月27日現在の状況です。

 

【行田教室】担当講師-金沢紗智

【館林教室】担当講師-松本りか

  • 生徒さんの募集を継続しています。開室より1年たち、レッスン枠が残りわずかとなっております。お早めにご利用くださいませ。

【料金はこちら。】

 【レッスンのご予約、ご質問等はこちら。】

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コメント: 1
  • #1

    ほりぐち (金曜日, 07 9月 2018 12:59)

    面白かったです!
    わたしは、雑草フェチです(^^)

指導にあたって

当時、講師かなざわの1歳の息子がピアノで楽しそうに遊ぶ姿に感激しました。これは、その当時のかなざわにとってピアノは『楽しい』ものではなくなっていたからです。

 

人は本来、ピアノが楽しくないとか苦手だとは思いません。しかし、ピアノが苦手で楽しくないと感じ、結局は諦めてしまう人は多いのが現実です。それを変えたいという思いが、ピアノ教室を立ち上げる原点となりました。

 

お子様にピアノを習わせたい親御さんや、自分自身がピアノを学びたいと思っている大人の方々は、レッスンに何を期待されていますか?

私がピアノを習っていた当時は「上手い」ことが全てでした。

それは音大に入っても変わりませんでした。

 

しかし社会に出て「上手い」人に価値があるというわけではない、ということがわかりました。

それはとてもショッキングなことでした。

そこにたどり着けば上手くいくものだと思って努力していたからです。

これは勉強,就職に対する考え方と同じだと思います。

 

『上手い』演奏は目指しません。

ピアノレッスンそして練習というプロセスを通して『質の良い学び方』を学びます。

「結果」は、『学んだ』後に勝手についてきます。

練習、学びの質が良ければ自然と「上手い」演奏になるかもしれません。

 

 私が準備できるのは、まずは何度でも間違えられる、どのような弾き方でも批判を受けない、つまり「安全だ」と感じる環境を作り生徒さんが本来の力を出せるようお手伝いをすることです。

音楽は非常に歴史が深く人間の叡智が宿っています。

それを演奏する楽しさというのは格別です。

しかし、やり方を誤ると体を傷つけます。

 

私自身が、小学校高学年の頃から体の痛みに苦しめられることになりました。

30代を過ぎてからは治療法の確立されていないフォーカルジストニアという脳神経の難病を発症しています。

痛みや病気の発生はその取り組み方にありました。

 

努力や根性、厳しい訓練がもたらす弊害を、ジストニアをきっかけに始めたメソッド「フェルデンクライス」から学びました。

フェルデンクライスは脳の可塑性を利用した科学的なメソッドです。

動きを通して脳を活性化します。

 

根性論でなく、何か有名な教育書に書かれているからでもなく、ただ脳がどのようにしたら活性化するのか、よりよく学べるのか、それをフェルデンクライスは体験をもとに気づかせてくれます。

 

私の指導の源はそこにあります。

指導とは、その演奏を成しとげるための『新しい選択肢』を提示するものです。

『理想』はおしつけません。

一人ひとりに寄り添い、 その人らしい演奏を尊重します。

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