「見返り美人の美しさ」はどこからくるのか。大人の生徒さんのレッスン風景とともに。

館林教室の大人の生徒さんのレッスン風景を見て、弾き方が大変美しいと感じました。浮世絵の「見返り美人」とともに、「美しさ」とはどこから来るのか考えてみます。

館林教室は、『松本りか』が担当講師のさちピアノ教室の分室です。

行田教室の講師かなざわは、生徒さんについて情報は共有しているものの、実際の演奏を目にすることができるのは発表会やピティナステップなどの本番があるときのみです。

 

この動画の大人の生徒さんについては、「ご経験のあるかなり弾ける方」ということは知っていましたが、これほど自然で美しい演奏をする方とは予想していませんでした。

 

※水の音がしますが、これはビデオの近くにある水槽の音です。気になる方は申し訳ございません(泣)

見返り美人はなぜ「美人」なのか?

菱川師宣の代表作、『見返り美人』、有名な浮世絵ですね。

でもなぜ、この女性が「美人」なのでしょうか?

 

顔が長く、胴も長い、和服の色気といわれる「襟元から首すじ」が見えているわけでもない。

しかし、歴史を経て今も世界的に高い評価を得ている理由は、多くの人がこの絵の中に「何かを感じる」からです。

 

この女性の首、胸、ウエスト、骨盤は、流れるようなラインを作っています。さらに背骨を動きやすくするために、両足の股関節と膝が協力してゆるくまがっています。

この立ち姿は、とても楽な感じがするのわかりますか?

 

一般的に、ある人の姿を美しいと感じるのは、形によってではなく、その人と周囲との関わり方に無理がないときです。

そのような体の使い方をしていることがこの絵で感じられるから、この女性は時代を超えて「美人」と評されます。

演奏する姿

ピアノ演奏を聴くとき、私達は聴いているだけではないですよね。

同時に見ています。

その人が出てきて帰るところまで、見ています。

 

コンクールなどで評価されるときに「弾く姿」についてもいちゃもんをつけられるのは、音だけでなく、「見た目」でも聴いているからです。

 

動画の生徒さんは、ピアノに触るときやさしくふれています。

かわいい赤ちゃんや動物、愛おしい人を撫でるようなそんな触れ方です。

そのような触れ方をするとき、私達はからだをうまく使い、力を適切に伝えることができます。

 

撫でられたときに気持ち良い感じがする人と、そうでない感じがする人がいますよね。

ゴツゴツしたり、手から緊張を感じたり、触り方が強すぎたり弱すぎたりと、あまり気持ちよくないと感じるとき、触っているほうの人の体はうまく使えていません。

 

動画の生徒さんは骨盤をうまく使っているので、ほとんど力なしにピアノの鍵盤を押しているのが見えます。

 胸郭(肋骨とか鎖骨あたりの胸のあたり)も楽そうです。

 

そのような体の使い方の結果として、ピアノもそれに応えるように響きのある透明な音を出します。

 

学生のときに「誰にでも好かれる演奏をしなさい」とピアノ界の大御所の先生から言われたことがありました。

「意味わからない〜」と混乱したものですが、今なら何をする必要があるのかわかります。

からだを上手に使い、不適切な緊張を伴わずに行っている動作と、そこから作られるピアノの音色は、「誰にでも好かれる」のです。

 

からだをうまく使っている「見返り美人」が愛され続けるのと同じです。

 

もともとうまく体を使うことのできる人、体をうまく使えるように適切な教育をうけてきた人は、ごく稀にいらっしゃいます。

 

ですが私を含めた大部分の方は、何かしなければ不適切な癖で、「美しくなく、機能的でない」動き方を見に付けていってしまいます。それが人間の脳の性質です。

 

からだの上手な使い方を学び、不適切な緊張から解き放ってくれるツールとしては、フェルデンクライス、アレクサンダーテクニーク、キネステティクス、センサリーアウェアネスを試してみるとよいでしょう。

 

ちなみに、今回動画でご紹介した館林教室は、講師の『松本りか』が、おおた芸術学校での講師の仕事や、伴奏などの演奏の仕事等も兼ねていることから、レッスン枠の空きが残り少ない状況となっています。

気になっている方はお早めにレッスンのご予約をお願いします。


さちの本棚

見返り美人の文章を引用させて頂いた本です。

私の知りたかったいろいろな難しいことを、非常にわかりやすく書いてあります。

 

 【知りたかった難しいこと】

  • システムとサイバネティクス
  • 反射学
  • コミュニケーション理論
  • フェルデンクライス(おいおい、わかってないのか?って感じですが、理解する一つのヒントになりました)

この本の核となるものに『フェルデンクライス」があります。

 

かなり専門的な内容なので、からだのことをよく知りたい方、本当にピアノがうまくなりたい方、なぜ痛みや不快感が生まれるのか知りたいと強く願う方、よりよく生きる方法を模索している方におすすめします。

 

こちらは上巻ですが、読み終わったら下巻も購入予定です。

持ち歩けないくらい分厚い本です。

 

『アウェアネス介助論』

気づくことから始める介助論

上巻 解剖学・生理学と基礎的理解

 

 


生徒さん募集&レッスンの空き状況

レッスンの空き状況を更新しました。

 

行田教室かなざわの担当する『月3回コース』は定員になり、募集を終了しました。また空きがありましたら、お知らせいたします。

1レッスンコース及び身体の調律コース、また館林教室については下記の通り募集を継続しています。

 

以下、2018年8月29日現在の状況です。

 

【行田教室】担当講師-金沢紗智

【館林教室】担当講師-松本りか

  • 生徒さんの募集を継続しています。開室より1年たち、レッスン枠が残りわずかとなっております。お早めにご利用くださいませ。

【料金はこちら。】

 【レッスンのご予約、ご質問等はこちら。】

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コメント: 2
  • #1

    ほりぐち (金曜日, 07 9月 2018 12:57)

    面白かったです!

  • #2

    かなざわ (金曜日, 07 9月 2018 13:02)

    ほりぐちさま、ありがとうございます!

指導にあたって

当時、講師かなざわの1歳の息子がピアノで楽しそうに遊ぶ姿に感激しました。これは、その当時のかなざわにとってピアノは『楽しい』ものではなくなっていたからです。

 

人は本来、ピアノが楽しくないとか苦手だとは思いません。しかし、ピアノが苦手で楽しくないと感じ、結局は諦めてしまう人は多いのが現実です。それを変えたいという思いが、ピアノ教室を立ち上げる原点となりました。

 

お子様にピアノを習わせたい親御さんや、自分自身がピアノを学びたいと思っている大人の方々は、レッスンに何を期待されていますか?

私がピアノを習っていた当時は「上手い」ことが全てでした。

それは音大に入っても変わりませんでした。

 

しかし社会に出て「上手い」人に価値があるというわけではない、ということがわかりました。

それはとてもショッキングなことでした。

そこにたどり着けば上手くいくものだと思って努力していたからです。

これは勉強,就職に対する考え方と同じだと思います。

 

『上手い』演奏は目指しません。

ピアノレッスンそして練習というプロセスを通して『質の良い学び方』を学びます。

「結果」は、『学んだ』後に勝手についてきます。

練習、学びの質が良ければ自然と「上手い」演奏になるかもしれません。

 

 私が準備できるのは、まずは何度でも間違えられる、どのような弾き方でも批判を受けない、つまり「安全だ」と感じる環境を作り生徒さんが本来の力を出せるようお手伝いをすることです。

音楽は非常に歴史が深く人間の叡智が宿っています。

それを演奏する楽しさというのは格別です。

しかし、やり方を誤ると体を傷つけます。

 

私自身が、小学校高学年の頃から体の痛みに苦しめられることになりました。

30代を過ぎてからは治療法の確立されていないフォーカルジストニアという脳神経の難病を発症しています。

痛みや病気の発生はその取り組み方にありました。

 

努力や根性、厳しい訓練がもたらす弊害を、ジストニアをきっかけに始めたメソッド「フェルデンクライス」から学びました。

フェルデンクライスは脳の可塑性を利用した科学的なメソッドです。

動きを通して脳を活性化します。

 

根性論でなく、何か有名な教育書に書かれているからでもなく、ただ脳がどのようにしたら活性化するのか、よりよく学べるのか、それをフェルデンクライスは体験をもとに気づかせてくれます。

 

私の指導の源はそこにあります。

指導とは、その演奏を成しとげるための『新しい選択肢』を提示するものです。

『理想』はおしつけません。

一人ひとりに寄り添い、 その人らしい演奏を尊重します。

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先生募集!

さちピアノ教室はおかげさまで、個人のピアノ教室としては異例のぶるいの多くの生徒さんを持ち、安定した運営を続けています。

 

年度替わりの際に、進学等により多少の空きが出ることがありますが、ほぼ定員いっぱいで、生徒さんを増やすことがなかなかできない状況です。

 

従来の精神論に頼らない科学的な根拠に基づいた指導法をもっと広げ、本質的な意味で生徒さんの人生の質をあげることに貢献していきたいと考えています。

 

そこで、指導方針に共感し、一緒に教室の運営に携わってくださるピアノ講師の方を募集します。

 

【条件】

  1. 音楽大学、普通高校の音楽科、もしくは音楽系の専門学校出身者。または子供の教育関連の学校出身者。
  2. 専攻楽器は問いません。(ピアノでなくてもOK)
  3. 講師かなざわさちのブログに一通り目を通して頂き、指導法に共感、興味を持てる方。
  4. 年齢は不問。
  5. 多少のPCスキルのある方。
  6. 稼働日数、稼働時間はお任せします。

【待遇】

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