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快適で安全であるときに神経系が活発になる

何かを学ばせようと考えた時に、怒って何かをさせようとするのは逆効果です。

当教室のモットーであり守っていることの1つに、

「緊急事態を除いて怒ったり、怖がらせて何かをさせようとしない。」

ということがあります。

 

緊急事態というのは、例えば子どもがやけどをしそうな熱いものを触ろうとしている危険な状況など、その場でアクションを起こして助けなければいけないときですが、そんなときは、それこそ怖がらせるかもしれない大声で注意します。

 

ですが、それ以外は「怒らない、怖がらせない」に留意しています。

 

一昔前は、おそろしいピアノ・レッスンが行われていました。

弾けなければ怒ったり、怖がらせて練習をさせようとしていたし、「うまくいかないのは、厳しく指導しないからだ。」というような考え方もありました。

 

2015年に行われたショパンコンクール(世界最高峰のコンクール)で、日本では天才少女として小さい頃から名を馳せていた方が、海外のピアニストに実力が全く及ばなかったことからも、日本の音楽教育は、根本的に変わる必要があることを示唆していたと思います。

 

「海外の先生は優しい」というのは、いろんな友達から聞いていたし、実際受ける機会もありましたが、そのとおりでした。多数の日本の先生が厳しく指導しているのにも関わらず、力を引き出せていなかったということになります。

 

これではいけないということに日本の音楽教育界は一応気づき、「楽しく」「優しく」教育しようという流れになってきました。

 

でも、それでもハテナな指導をする先生はいらっしゃいます。

なぜでしょうか。それは「楽しく」「優しく」したほうがうまくいくという、理由を知らないからです。

 

現在先生になっている方は、当教室の講師含め、これまでのあまり適切ではない厳しい教育を受けて育った方々です。

優しく楽しく指導していて、それでも指導がうまくいかないと考えた時に、自分の経験に戻って、厳しく、怖がらせればうまくいくのではないかと考えてしまう方がいらっしゃるんですね。

 

アクションは起こさないまでも、以前はかなざわもそのように感じることが多々あったので、そのプロセスは理解できます。優しく楽しくしたほうがうまくいくという確信がもてないからそうなるのです。

 

フェルデンクライスや、脳科学などを学ぶことで、神経系統や脳は、安全を感じて快適な時に、もっとも活発化することが知識と体験の両面でわかりましたが、下記の話も非常に印象に残りました。

 

フェルデンクライスの非常に有能なトレーナーの話。

トレーナーのお子さんが、立つ、歩くということを学び始めた1歳頃、お子さんは何度も転んだり、つかまり立ちしたり、バランスをとったり、あらゆる方法で学んでいました。

 

この「立つ、歩く」ということ、今考えれば本当に大きな出来事だと思います。

最近、かなざわはフェルデンクライスの動きの「ヘッドスタンディング:逆立ち」を練習していますが、これは腕で立つことを学んでいるわけですね。でもこれ、ものすごく怖い感じがするのです。

転んで痛い思いをするのが怖くて、次のプロセスに進むことを躊躇することが多いです。

 

私たちは、赤ちゃんの頃、それを足で行おうとしていました。

こんなに難しくて怖いことを、一生懸命学んだわけです。

赤ちゃんの頃の私たち、すごいです。

 

脱線しましたが、そんな中、トレーナーの親族に不幸があり、彼女は非常に感情をかき乱された期間がありました。

すると、今まで一生懸命立つこと、歩くことを学んでいたお子さんが、全くその練習をしないようになってしまったそうです。

 

親族の死により悲しむお母さんをそばで感じたお子さんは、おそらく不安だったでしょう。不快だったでしょう。

環境が快適で安全なものでないと感じたお子さんは、重要な発達の学びをとめてしまいました。

結果的に歩くことはできるようになりましたが、大きな遅れが生じたそうです。

 

というわけで、ここにレッスンに来たら、失敗しても間違っても、怒られない。安心して間違えられる。自分のやることが尊重されている。楽しい。

そう生徒さんが感じてくれる環境を作ることは、レッスンにおいて重要なことの1つです。

 

この逆のことをしたらどうなるか、ここまでお読み頂いたみなさんにはご理解頂けると思います。


フェルデンクライス柔道ロール(小学2年女子:レッスン風景)

フェルデンクライスの柔道ロールという動きをレッスンに取り入れた動画です。

あらゆる武術の受け身の動きの基本は、ほぼこの動きです。

骨盤から肩に対角上に転がることで、もっとも柔らかく受け身をとる(転ぶ)ことができます。

 

全身のつながりを良くするのでピアノ演奏にももちろんいいですが、日常生活において転ぶことから逃げられない私たちにとって、非常に助けとなる動きです。

一度できるようにしておくと、転がった時にこの受け身の姿勢を取ることができます。

 

さちピアノ教室のレッスンは、お子さんを危険からも守るということです(笑)


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指導にあたって

当時、講師かなざわの1歳の息子がピアノで楽しそうに遊ぶ姿に感激しました。これは、その当時のかなざわにとってピアノは『楽しい』ものではなくなっていたからです。

 

人は本来、ピアノが楽しくないとか苦手だとは思いません。しかし、ピアノが苦手で楽しくないと感じ、結局は諦めてしまう人は多いのが現実です。それを変えたいという思いが、ピアノ教室を立ち上げる原点となりました。

 

お子様にピアノを習わせたい親御さんや、自分自身がピアノを学びたいと思っている大人の方々は、レッスンに何を期待されていますか?

私がピアノを習っていた当時は「上手い」ことが全てでした。

それは音大に入っても変わりませんでした。

 

しかし社会に出て「上手い」人に価値があるというわけではない、ということがわかりました。

それはとてもショッキングなことでした。

そこにたどり着けば上手くいくものだと思って努力していたからです。

これは勉強,就職に対する考え方と同じだと思います。

 

『上手い』演奏は目指しません。

ピアノレッスンそして練習というプロセスを通して『質の良い学び方』を学びます。

「結果」は、『学んだ』後に勝手についてきます。

練習、学びの質が良ければ自然と「上手い」演奏になるかもしれません。

 

 私が準備できるのは、まずは何度でも間違えられる、どのような弾き方でも批判を受けない、つまり「安全だ」と感じる環境を作り生徒さんが本来の力を出せるようお手伝いをすることです。

音楽は非常に歴史が深く人間の叡智が宿っています。

それを演奏する楽しさというのは格別です。

しかし、やり方を誤ると体を傷つけます。

 

私自身が、小学校高学年の頃から体の痛みに苦しめられることになりました。

30代を過ぎてからは治療法の確立されていないフォーカルジストニアという脳神経の難病を発症しています。

痛みや病気の発生はその取り組み方にありました。

 

努力や根性、厳しい訓練がもたらす弊害を、ジストニアをきっかけに始めたメソッド「フェルデンクライス」から学びました。

フェルデンクライスは脳の可塑性を利用した科学的なメソッドです。

動きを通して脳を活性化します。

 

根性論でなく、何か有名な教育書に書かれているからでもなく、ただ脳がどのようにしたら活性化するのか、よりよく学べるのか、それをフェルデンクライスは体験をもとに気づかせてくれます。

 

私の指導の源はそこにあります。

指導とは、その演奏を成しとげるための『新しい選択肢』を提示するものです。

『理想』はおしつけません。

一人ひとりに寄り添い、 その人らしい演奏を尊重します。

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年度替わりの際に、進学等により多少の空きが出ることがありますが、ほぼ定員いっぱいで、生徒さんを増やすことがなかなかできない状況です。

 

従来の精神論に頼らない科学的な根拠に基づいた指導法をもっと広げ、本質的な意味で生徒さんの人生の質をあげることに貢献していきたいと考えています。

 

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