子供とのワークのときには、必ず念頭におかねばならないことだとジェレミー先生はおっしゃっていました。
上の写真、レッスン中に小学4年の生徒さんが書いてくれたメロディーの書き取りをした五線譜です。
すごーくおもしろいなと思いました。
本人も言ってましたが、
一つ目に書いたト音記号は小さすぎて、2回めに書いたト音記号は、大きすぎました。(あくまでも模範のト音記号とは少し違うという程度で、上手に書けているので気にするほどではありません。)
子供の発達を促す手技や周辺知識を教えてくれる『ジェレミークラウスアプローチ』のジェレミー先生がおっしゃっていたことが頭に浮かびました。
『ランダムから秩序が生まれる』
これは、例えば赤ちゃんがあるものを取ろうとして、いろんなところを触ってやっと目的物をつかむことであったり、子供が最初はマスからはみ出す字を書いていて、それが少しずつマスに収まるようになってきたり、というようなことを指します。
これが、人間の発達の基本です。
ピアノで言えば、ちょうどよい大きさの音を出すために、極端に小さい音になったり大きい音になったり、音符のマルを書こうとして楽譜に収まりきらずに大きくなりすぎたり、又は小さく書こうとしたらどこに書いたかわからないような小さいマルになってしまったりというようなことです。
『ランダム:間違い、やり過ぎ』なことをやる中で、『秩序:正解、目的、意図していること』ができるようになる、というのが人間の学びの方法です。
逆に言えば、『間違い(ランダム)』がなければ、『目的(秩序)』にたどり着くことはできない、とも言えます。
ピアノの指導に限らず、何か教えようとする人の一つの間違いは、ランダムなしに、秩序にたどり着くよう指導する傾向にあることです。
子どもが字をはみ出して書いているのを見て、はみ出さないように厳しく指導したり、何かを習得しようとしている子供に、それは違う、それも違うと間違うことを許さなかったりというような指導は、本人の自信を喪失させることにとどまらず、間違いを許されないので、結局できるようにならなかったり、または誤った方法で習得したりすることになります。
本人が、その目的を理解し、できるようになりたいという意図を持っていればよいのです。それが一番の近道です。
このことを、直接ピアノの練習に応用するならば、ある音量の音を出したいと思う時に、極端に小さい音で弾いたり、大きい音で弾いたりすることは有効でしょう。
速度に関してはとても速く弾いたり遅く弾いたり、何か弾きにくさを感じた時にピアノとの距離をすごく離して弾いたり、近づいて弾いたりするのもとても良い練習方法です。他にもいろいろあります。
『良い学習環境とは何か』と誰かに問われるならば、
【間違えることを、自由に行うことのできる環境である】と言えます。
いつもこのことを念頭に置いて、レッスンをしています。