私たちが天才と呼ぶ人と他の人達とに、本質的な違いはありません。
私の学んでいる『フェルデンクライス・メソッド』の発案者である、モシェ・フェルデンクライス博士の著書に、とてもおもしろい記述がありましたので、噛み砕いて記してみようと思います。
天才と凡人との違いは何でしょう。
私たちが天才と呼ぶ人と他の人達とに、遺伝的な違いはありません。
ただ一つ違いを言うならば、いわゆる天才と呼ばれる人は、『自分の能力を向上させる方法』を発見したということです。
彼らは、ときには幸運な境遇で、ですがその多くはこれを『徹底的に調べること』で、発見しています。
いったんこの方法が見つけられ、明確に示されれば、多くの人達がこの方法の考案者と同じか、もっと良くすることできるようになります。
そして後に続く人は、このやり方を改良します。
思考であれ、ジャグリングであれ、水泳であれ、演技であれ、ピアノであれいったん自分をより良く使う方法が知られたら、元の発見者と匹敵するか、さらに優れたことができるようになります。
であれば、この発見をするために必要な要素が、私たち各人に潜在していることを示しているということがわかりますか?だって、私たちにもできることだからです。
つまり、『天才』はただこれらの要素を、完全なものへ連動させて働く『パターンを提供したにすぎない』のです。言い換えれば、『自分の能力を向上させる方法』を見つけることが、実は私たちの大部分に欠けている、ということなのです。
この区別がとても重要です。
なぜなら、遺伝することについてはできることは多くありませんが、『自分の能力を向上させる方法』を増すことなら相当多くのことができるからです。
【ジャン・ジャック・ルソーの場合】
偉大な知能を持つ人たちは、自分の能力は、『自分の能力を向上させる方法にかかっている』ということを認識していました。
例えば、ジャン・ジャック・ルソー(仏 1782-89)は著書の『告白』で、『生まれつきの』才能が欠けていると繰り返し主張しました。
そして、自分の業績はすべて『自分自身を使う整然とした手順に原因がある』として、これを身につけるまで多くの年月がかかったと語っています。
『The Potent Self』より抜粋して引用
いかがでしたでしょうか。
フェルデンクライス博士が考案した天才的な『フェルデンクライス・メソッド』が、私たちが実際に活用し得るものである、ということも、『私たちには、天才と同じ要素が潜在している』ということにつながるのではないでしょうか。
そのほとんどは遺伝ではありません。使い方なのです。
そして、『フェルデンクライス・メソッド』は、それを教えてくれます。
もちろんピアノにも効く『フェルデンクライス・メソッド』、やりたくなったかな〜(笑)
さちの本棚
『発達障害や他の障害の方へのレッスン』でも紹介している本です。
脳卒中、自閉症、パーキンソン病、慢性疼痛、多発性硬化症、視覚障害等、これまで治療困難と考えられていた神経に由来する機能障害の多くには、《神経可塑性》を活かした治療で劇的に改善する可能性があります。
フェルデンクライスについても記述があります。
私はこれを読んで、自閉症の息子の将来への不安が消えていきました。
人は固定化されていません。ずっと発達し続けることができます。
神経系は、いかなるときでも変化し得るのです。