自然な演奏とは何でしょうか。
ピアノのコンクールなどの評価を目にするとき、どんな演奏を目指すべきなのかもやもやしてしまうことがあります。実際のところ、物事に正解なんてありません。
でもいつの時代でも、みんなに好かれ、聴いていて決して嫌な気分になることがない演奏というものは存在します。
大学の同期である彼の演奏を去年の年末に偶然に聴いて、感動しました。
ぞくっとするほど魅力的なピアノ、精密、個性的でむちゃくちゃかっこいいと思いました。そして不思議に思ったのが、それだけ個性的なのに全く気持ち悪さを感じないことです。
個性的であることと、気持ちが悪いっていうのは、すぐ隣にある気がします。ポップスの歌手を見ていて個性的だと言われて注目を集めていたとしても、「私にはなんか気持ち悪いなあ」と思うことありませんか?
私は、それがなぜなのかわかりませんでした。個性的で気持ち悪くなる人とそうならない人の差はどこにあるんだろう。その謎を解きたい!!
それゆえに、岐阜に住んでいる彼のところまでレッスンに通うという暴挙にでて、今も1か月に1回くらい通っています。(私、アホかもしれません・・・)
私の中で解けた謎の答え(個性的なのに気持ち悪くならない理由)
- 演奏が、その様式に忠実である(演奏法や解釈を研究しつくしている)
- 良い「センス」を持っている
- 上記2点を表現するための練習方法を知っていて、それを緻密に行動に移すことができる
2.は難しいです。こうすれば「センス」が身につく、とは言えません。生まれつき備わっている人もいれば、環境がそうさせる場合もあります。
3.も難しいですが、体の使い方を通して私も研究していることです。みなさんにも提供しているレッスンです。私に足りないけれど努力でなんとかなると思ったのは、1.でした。
様式に忠実であるということは、簡単に言うと「ルールを守っている」ということだと思います。例えばスポーツにルールがなかったら、みんな好き勝手はじめてプレイどころではありません。ルールがあるから面白いんです。
1.に近づくために、私は今、モーツアルトの演奏法と解釈の本を読んでいます。(今さらですが(T_T))これを読んでから、いろんな人の演奏を聴くと、違和感(気持ち悪さ)を感じる演奏家がたくさんいることに気づきます。
不適切なルバート、スタッカート、スラー・・・【モーツアルト演奏法と解釈はこちら】
世間には、こうした演奏の違和感を何も感じない人もいます。でも感じる人もいるのも事実です。みんなに快い演奏というのはこうした違和感がないもの、そしてどうやらこれが「自然である」と感じるものの正体であるようです。
体の使い方についても同じことが言えます。よくコンクールなどで不必要に体を動かしたり、不自然な表情を作ってピアノを弾いている子供がいます。(多くの場合、先生の演奏フォームのコピーをしています)怖いのが、これを上手だと勘違いする人がいることです。
体が正しく使えれば、動きは自然と美しくなります。自分の心の声や、本来おこるべき体の動きを無視した演奏フォームは、大変気持ち悪いし、将来自分がやりたい音楽が見えなくなることがあります。体を壊すこともあるでしょう。
フェルデンクライスのトレーニングにはダンサーもいます。正しい体の使い方をしていると、一番美しく見えることに気づくからです。
不自然なことに対する違和感は、実はとても大事なことです。自然なことが美しいと思える人を育てたいし、自分もそうありたいと強く思います。
ちなみに、ここでふれた私の大好きなピアニスト「宇野正志」さんは、11月の発表会にゲスト出演してくださる予定です。(ピアノとトイピアノを弾きますよ♪)とってもおもしろい演奏を聴かせてくださると思います。
お楽しみに!!
↓おまけ
先の動画の彼です。トイピアニストもやっています。ドラクエ好きならわかってもらえるこのすごさ。