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緊張について

演奏の本番で、上がったり、過度な緊張をしたりということについて、ご質問をいただくことがあります。私自身が緊張する性質を持っており、これに関してはとても興味がありました。

生徒さんの半数が参加されるピティナステップが、5月29日に控えているのもあり、今回は「緊張」について書いてみたいと思います。

 

英語では、”上がり“や“緊張“をstage flght(ステージ・フライト)と呼びます。

 

舞台の本番とは無縁な方たちであっても、職場でプレゼンテーションをしたり、あるいはママ友との初対面で自己紹介をするとき、役員になって挨拶をしなければならない時などに、緊張してしまったという方たちは多いのではないでしょうか。

 

そして、そのような緊張の際にいったいなにが起きているのかについては、まともに書かれた本はないように思います。だから私は、緊張について、今までずっと悩み続けなければいけませんでした。

 

しかし、近年の科学の発展に伴い、新しい学説が出てきたことによって、そもそもステージ・フライトの際になにが起きているのかということについて、ようやく体系的に説明できるようになってきました。

 

まずは、大きな生理学的な枠組みの中で、自分の中で何が起きているのか理解する必要があります。

 

私たちには自律神経が備わっています。

「交感神経」と「副交感神経」があって、交感神経は「逃げるか戦うか」という状況で優位になり、副交感神経は「リラックスした状態」(消化・吸収・休息・睡眠)で優位になります。

 

緊張している状態というのはこの「交感神経が優位になっている」というのが、よく聞く説明でした。 しかし、この説明に納得いきますか? 私は納得いきませんでした。

演奏したり、プレゼンテーションしたり、ママ友と話したりするときに、交感神経の「逃げるか、戦うか」という状況、起こっているんでしょうか・・・(毎日が戦場?)

 

従来の通説に対して、多重迷走神経理論(ポリ・ヴァーガル理論)が提唱され、注目を集めています。

 

ある状況に接したときに、私たちはまず社会性を担う神経システムである、「腹側迷走神経」が優位になり、対応しようとします。(名前は難しいのであまり考えなくて大丈夫です)

しかし、その状況が社会性を発揮するのにふさわしくないとき(例えば、極端な例になりますが、いきなりナイフを持った人が突進してきたとき)には交感神経が優位になり、状況に対応しようとします。逃げるか、戦うかです。

そして、その状況が社会性を発揮するのも、逃げるか戦うかを行うこともふさわしくない場合には、「背側迷走神経」が優位になり、凍りつきます。

 

凍りつきは、草食動物が捕食動物に捕まったときに起こります。草食動物が草を食んでいるとき、同時に周囲にも注意を払っています。そして、そこに獲物を捕るためにライオンが現れます。それに反応して、草食動物たちはいっせいにばらばらに逃げ始めます。交感神経が極限まで高まって、逃げるのです。

そして、運悪く1匹の草食動物が捕まってしまいます。

そのとき、草食動物には「背側迷走神経」が優位になり、凍りつきが起こります。(死んだふりのように見える状態、ぐったりしていて体温は低く、動きません)

 

凍りつきが起こる利点は、

 

① 「食べようとしたらぐったりしているから、悪い病気でも持っているのかもしれない」とライオンが勘違いをして、立ち去ってくれることがたまに起こること。

 

② ライオンは、食べるときに、とどめをさしません。ほぼ”生き作り”状態で食べられます。その際に、あたかも全身麻酔がかかっている状態になるので、痛みを感じないで済むこと。

 

俗に”死んだふり“と呼ばれますが、正確な表現とは言い難いです。演技をしているわけではありません。

 

従来の学説では、過度な緊張の状態を十分に説明しきれないし、改善のための方向性を示すことができませんでした。しかし、多重迷走神経理論(ポリ・ヴァーガル理論)は、状況を説明できるし、改善のための方向を示すことができるので注目を集めています。

 

具体的な状況に当てはめると

1. 人によっては、本番では体温が下がる

2. 人によっては、指が冷たくなる。

3. 人によっては、息が吐けない(さらに程度が甚だしいと過呼吸になる)。

4. 人によっては、足がふわふわして、地面にくっついていないような違和感がある.

 

緊張状態の中、自分の体の中で何が起こっているのか手がかりをつかみました。ではステージフライトにならないようにするにはどうすればよいか。

 

フェルデンクライスにはその答えがあります。

ただ、すぐに解決できるものではなく、ある程度の時間をかけて学ぶ必要があります。

ですが、ここまで書いておいて、「フェルデンクライスをやってください」では詐欺のようですので、フェルデンクライスを知らなくても、できることを何点か紹介します。

  • 呼吸を感じる(それだけか?と思われるかもしれないけれど全然違います)
  • 周りをゆっくり見渡す
  • 手で膝をさすって、手の平の感覚を感じる(ゆっくり優しく行ってください)
  • 足の裏を感じる
  • 頭の上や、後ろの空間を感じる

ステージフライトをなくし、舞台で良いパフォーマンスをしたい、人前で堂々としゃべりたいなど、緊張と上手に付き合いたいと願う方は、お気軽にお問い合わせください。

フェルデンクライスのレッスンで、ご自身の理想に近づけることができると思います。

 

「まあそんなに固くならないで」とか「気楽に弾けばいいじゃん」とか、「緊張して度胸がないわね」とか、全く意味のない声がけを私は周りからずっと受けてきました。

 

そんなこと言われてもできないよ・・・と考え悩んでいる方の役にたちたいです。

 

参考文献:アレクサンダーテクニーク・かわかみひろひこ先生のブログ

指導にあたって

当時、講師かなざわの1歳の息子がピアノで楽しそうに遊ぶ姿に感激しました。これは、その当時のかなざわにとってピアノは『楽しい』ものではなくなっていたからです。

 

人は本来、ピアノが楽しくないとか苦手だとは思いません。しかし、ピアノが苦手で楽しくないと感じ、結局は諦めてしまう人は多いのが現実です。それを変えたいという思いが、ピアノ教室を立ち上げる原点となりました。

 

お子様にピアノを習わせたい親御さんや、自分自身がピアノを学びたいと思っている大人の方々は、レッスンに何を期待されていますか?

私がピアノを習っていた当時は「上手い」ことが全てでした。

それは音大に入っても変わりませんでした。

 

しかし社会に出て「上手い」人に価値があるというわけではない、ということがわかりました。

それはとてもショッキングなことでした。

そこにたどり着けば上手くいくものだと思って努力していたからです。

これは勉強,就職に対する考え方と同じだと思います。

 

『上手い』演奏は目指しません。

ピアノレッスンそして練習というプロセスを通して『質の良い学び方』を学びます。

「結果」は、『学んだ』後に勝手についてきます。

練習、学びの質が良ければ自然と「上手い」演奏になるかもしれません。

 

 私が準備できるのは、まずは何度でも間違えられる、どのような弾き方でも批判を受けない、つまり「安全だ」と感じる環境を作り生徒さんが本来の力を出せるようお手伝いをすることです。

音楽は非常に歴史が深く人間の叡智が宿っています。

それを演奏する楽しさというのは格別です。

しかし、やり方を誤ると体を傷つけます。

 

私自身が、小学校高学年の頃から体の痛みに苦しめられることになりました。

30代を過ぎてからは治療法の確立されていないフォーカルジストニアという脳神経の難病を発症しています。

痛みや病気の発生はその取り組み方にありました。

 

努力や根性、厳しい訓練がもたらす弊害を、ジストニアをきっかけに始めたメソッド「フェルデンクライス」から学びました。

フェルデンクライスは脳の可塑性を利用した科学的なメソッドです。

動きを通して脳を活性化します。

 

根性論でなく、何か有名な教育書に書かれているからでもなく、ただ脳がどのようにしたら活性化するのか、よりよく学べるのか、それをフェルデンクライスは体験をもとに気づかせてくれます。

 

私の指導の源はそこにあります。

指導とは、その演奏を成しとげるための『新しい選択肢』を提示するものです。

『理想』はおしつけません。

一人ひとりに寄り添い、 その人らしい演奏を尊重します。

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年度替わりの際に、進学等により多少の空きが出ることがありますが、ほぼ定員いっぱいで、生徒さんを増やすことがなかなかできない状況です。

 

従来の精神論に頼らない科学的な根拠に基づいた指導法をもっと広げ、本質的な意味で生徒さんの人生の質をあげることに貢献していきたいと考えています。

 

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