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フェルデンクライスとピアノの打鍵

今日は私がフェルデンクライスメソッドを始めてから、ピアノ演奏がどのように変わってきたかということについて書いてみたいと思います。

私は2012年にフォーカルジストニアという指の病気にかかり、左手はほとんど弾けないと言う状況になりました。

そこから数年経過後、そのリハビリのためにフェルデンクライスを始めました。

 

フェルデンクライスを始めてから最初の4年間と言うのはそれまで自分が信じていたものをほとんどすべてひっくり返すようなそんな感覚のする時期でした。

 

最初の4年間は力を抜いても弾けること、力を入れている状態がおかしかったと言うことを最も学んだ時だったと思います。

そしてこれほど弾きやすくなるのかと唖然としました。

 

自分がこれまで信じていた根性と努力、そしてその結果返ってくる痛みや疲労と言うものは悲しいくらい幻想だったのです。

 

しかし4年経った後は、もっと美しい音、響きのある重厚で力強い音に近づくにはどうすればいいのか、自分の中でもよくわかっていない、変化に乏しい2年間というのがありました。

 

その2年間は、何もしないでいると無意識に硬くなってしまう自分を和らげるため、そして痛みのない快適で楽、余裕のある自分でいるためにフェルデンクライスを毎日やっていたという感じです。

振り返ってみると、変化が少ないと自分で感じていただけで脳内はどんどん変化していたのだと思います。

 

それと同時期に、フェルデンクライスから派生しているジェレミークラウスというトレーニングを始めました。

赤ちゃんの発達の動きを学ぶことで、こどもの発達について理解を深め、特別な支援を必要とする人に手技を行えるようにする主旨の学びです。

 

そこで出会ったのが赤ちゃんの動きで、ハイハイをやったときのことでした。

腕や足でバランスをとって、体重を乗せると言うことが本当に初めてわかったのです。

究極的にバランスの取れたところにいるときには、疲れずに長い時間その姿勢でいられると言うこともわかりました。

私の疲れやすさというものはこういうところからも来ているのだということにも気づきました。

 

そしてつながったのがピアノの打鍵の動きです。

腕や足でほとんど力なく、骨の力でそこに立っているようなバランス、それが指先でも必要だったのです。

手首を柔らかく、とよくピアノの先生は言いますが、骨で鍵盤をバランスよく打つことができると、自動的に手首は適切な場所に来ざるをえなくなります。

そしてうまくバランスの取れた打鍵をしているとき、手首の動きは柔らかく見えるのです。

力は必要ではなくなり、筋肉もぎゅっとしておらず柔らかく見えます。

 

私には、そのハイハイの動きが自分の真にバランスのとれる感覚をもたらしたのです。

 

手首の問題、いまいち演奏が美しい動きにならないなと思っていたこと、大きな音を出すと乱暴と言われたり、粒が揃っていないと言われたり。。。

それがつながった瞬間でした。

 

私はハイハイの動きで気づきを得ましたが、みんながそれをすると気づくと言うわけではありません。

赤ちゃんが産まれて数時間でやり始める、手を自分の口のほうに持ってくる動きだったり、あるいは吸う動きであったり、うつ伏せから背中を伸展させようとする動きであったり。。。

さまざまな動きに、ピアノ演奏とつながる要素が含まれています。

あらゆるところに、ピアノの鍵盤と指先との関係を高める方法が秘められているのです。

 

私は、ピアノをはじめて、物心ついたときにはすでに固くして弾いていました。

小学校低学年から高学年くらいまで、よくピアノの先生に肘のところを下から叩かれて痛いと思っていたのですが、肘が硬く見えていたのだなと今はわかります。

(叩かれても柔らかくはならないです)

こんなに硬くしていたら動きが美しく見えないのは当たり前です。

肘が固い、手首が固い、肩甲骨が硬いとか、とにかく言われまくってきたのですが、最近の演奏を見ると自分でもずいぶんほぐれてきたなと、マシになってきたなと思います。

前は自分の演奏を見るのもちょっと嫌な感じがする位でした。

 

以上がフェルデンクライスによる気づきで、ピアノのタッチというものが変化したという話でした。

もちろんこれで完了ではありません。

例えば「間」の取り方や、すごく良いリズム感など他にもいろいろよくしたいところはありますが、それらも、フェルデンクライスの学びを続けることで何かしらの気づきがあり、より良いものになっていくのだろうと思っています。

 

本当にこのメソッドは飽きると言うことがなくピアノと同じくらい、人生において探求し続けたい存在です。

ピアノについて、さらにこう弾きたい、美しい動きにしたい、痛みで悩んでいるということがあったら私は、まずフェルデンクライスを2日に1回以上、かつ1年以上やってみることをおすすめします。

必ず変わります。


おすすめというか懐かしい動画

私はピアノ伴奏をすることが大好きなのですが、それの下地を作ったのが小学6年の時に高校生の姉が取り組んでいたミュージカルの練習でした。

姉は当時、浦和明の星高校というところに通っていて、その高校では毎年文化祭の時期に指導者なしに子供たちだけで、「レ・ミゼラブル」のミュージカルを上演する、というのがありました。

 

驚くことに、楽譜がなかったのでその有志たちが耳コピして作っていたのです。

しかもレミゼラブルのCDもなかったので、本人たちが劇場に観に行ってこそっと録音してきたものを楽譜に起こしていたそうです。

 

姉は、役のオーディションとオーディション後の練習のため、私に楽譜を渡して、「ピアノ目指してるんだったらこれくらい弾けるよね。」と言いました。

不思議なことに親に頼まれるのはイヤな感じがするのに、きょうだいに言われるとやる気が出るんですよね。

 

私はレミゼラブルの中に登場するほとんどの曲をピアノで弾けるようになり、姉の練習に伴奏として付き合っていました。

レミゼラブルをご存知の方ならわかると思うのですが、姉はエポニーヌかコゼット、ジャンバルジャンのいずれかの役をやりたく、一番やりたかったのは動画のエポニーヌでした。

だからこの曲は死ぬほど何回もやりました笑

英語でも歌えます。

 

オーディションの練習として姉とやっていたとき、私の中では主役のジャンバルジャンの歌がなかなか上手いなと思っていて、その通りジャンバルジャン役を射止めてしまった姉でした。

文化祭を観にいきましたが、音楽を聴いて初めて涙が出た経験でした。

 

伴奏を全部やったので、ストーリーも音楽も全部頭に入っています。

原作の本も読みました。

 

このレミゼラブルだけでなく、もう一人の姉や弟も歌が好きだったので、しょっちゅう伴奏を頼まれました。

こういう経験が私のピアノ演奏の初見能力を意図せず高めたと思います。

私は、連弾でも歌でも他の楽器でもできる人をみると、とりあえずセッションをしたくなる性質がありますが、こんな思い出が形作っていることは確かです。

指導にあたって

当時、講師かなざわの1歳の息子がピアノで楽しそうに遊ぶ姿に感激しました。これは、その当時のかなざわにとってピアノは『楽しい』ものではなくなっていたからです。

 

人は本来、ピアノが楽しくないとか苦手だとは思いません。しかし、ピアノが苦手で楽しくないと感じ、結局は諦めてしまう人は多いのが現実です。それを変えたいという思いが、ピアノ教室を立ち上げる原点となりました。

 

お子様にピアノを習わせたい親御さんや、自分自身がピアノを学びたいと思っている大人の方々は、レッスンに何を期待されていますか?

私がピアノを習っていた当時は「上手い」ことが全てでした。

それは音大に入っても変わりませんでした。

 

しかし社会に出て「上手い」人に価値があるというわけではない、ということがわかりました。

それはとてもショッキングなことでした。

そこにたどり着けば上手くいくものだと思って努力していたからです。

これは勉強,就職に対する考え方と同じだと思います。

 

『上手い』演奏は目指しません。

ピアノレッスンそして練習というプロセスを通して『質の良い学び方』を学びます。

「結果」は、『学んだ』後に勝手についてきます。

練習、学びの質が良ければ自然と「上手い」演奏になるかもしれません。

 

 私が準備できるのは、まずは何度でも間違えられる、どのような弾き方でも批判を受けない、つまり「安全だ」と感じる環境を作り生徒さんが本来の力を出せるようお手伝いをすることです。

音楽は非常に歴史が深く人間の叡智が宿っています。

それを演奏する楽しさというのは格別です。

しかし、やり方を誤ると体を傷つけます。

 

私自身が、小学校高学年の頃から体の痛みに苦しめられることになりました。

30代を過ぎてからは治療法の確立されていないフォーカルジストニアという脳神経の難病を発症しています。

痛みや病気の発生はその取り組み方にありました。

 

努力や根性、厳しい訓練がもたらす弊害を、ジストニアをきっかけに始めたメソッド「フェルデンクライス」から学びました。

フェルデンクライスは脳の可塑性を利用した科学的なメソッドです。

動きを通して脳を活性化します。

 

根性論でなく、何か有名な教育書に書かれているからでもなく、ただ脳がどのようにしたら活性化するのか、よりよく学べるのか、それをフェルデンクライスは体験をもとに気づかせてくれます。

 

私の指導の源はそこにあります。

指導とは、その演奏を成しとげるための『新しい選択肢』を提示するものです。

『理想』はおしつけません。

一人ひとりに寄り添い、 その人らしい演奏を尊重します。

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