生まれ変わるくらい考え方が変わった出来事(PDAという概念から)

親御さんや先生を始めとした、周りの人の要求を回避する子供、それは性格が悪いのでも勇気がないのでもありません。

自閉症の息子に、感覚統合(身体感覚に働きかけて治療的アプローチを行うもの)を受けさせていますが、そのセッションの中で知った、生まれ変わって一からやり直したいくらい衝撃的だった概念が『PDA』でした。

 

PDAは、Pathological Demand Avoidance syndromeの略です。

日本語での概念がない(イギリスで発見された新しい考え方で、アメリカにもまだこの考え方はない)ので、無理矢理に訳すと、

 

『病理的要求回避症候群』

 

です。漢字が並んで訳がわかりませんね。


 【子供の不安感が源となって、自分が支配できない他人からの要求を、様々な手立てで回避する】というのが、『PDA』です。

 

息子が、この性質を持っている可能性があるということでした。

この症状は、いわゆる発達障害と呼ばれる子供に限らず、健常と呼ぶ子供の中にも存在するとのこと。まあ特定の人だけのものではないということですね。

ではPDAはなぜ起こるのでしょうか。

 

感覚には、「触覚」というものがあります。その機能がうまくいっていないと、【不安感】がつきまといます。

 不安な感覚とはどのようなものなのかというと、

  長いこと歩いてきた末に、ひとけのない見知らぬ場所にたどり着いたと想像します。

夕暮れが近くなった頃、あなたはうっそうとした森のなかの山小屋にたどり着きました。

 

あなたはここで夜を明かすことになります。陽が落ちたので、あなたは小屋の中でくつろぎます。

 

しかしもし、小屋の戸口を閉じることができなかったとしたら、あなたはどんな気持ちになるでしょうか?

 

すごく不安になるのではないでしょうか。怖くて朝まで眠れない人もいるでしょう。



常に安心できない、不安な感じわかりますか?

 

触覚が未熟な状態というのは、まさにこんな感じです。

自分を守るバリアのようなものがところどころ欠けていたり、または全体的にとても薄いため、常にどこかに不安な気持ちを抱えています。

 

こうした触覚の状態によって、不安感が引き起こされ、それが元になって【PDA】が起こるということです。

信頼できるものが失われている状態のため、自分でコントロールできない他人の要求を受け入れることが、とても怖いのです。

 

特にピアノの体験レッスンにおいて、こういう症状を見せる子供は多いです。それほど興味がなさそうなわけではないのに、指導者の要求を拒否する。

 

最初は、緊張しているのかなとか(もちろん緊張はしてます)、言っている意味がよくわからないのかなとか、新しいことをするのが苦手なのかなとか思っていました。

 

でも今ならわかります。

 

わからないのではない、興味がないのではない、新しいことをするのが嫌なわけでもないのです。

他人(指導者)の要求を受け入れることが、ただ怖いのです。

 

こういう子供を、教育だと言って無理やり従わせようとしたとき、子供は限界を超えてしまい、ぼーっとした感じになったり、ふざけたり、他のことに気をひこうとしたりします。要求をなんとか回避するために・・・

 

私はこれを知って、今まで受けてきた教育は、大変な間違いをしているのではないだろうかと思いました。

 

周りの指示に従う子が本当に良い子なのか?

『勇気がある人』とはなんだろう。

 

身体的な理由がもとで先生の指示に従えない子供がいたら、それは『悪い子』でしょうか。

 

周りの言うことを聞いて、難しいことでも実行する子が『勇気がある子』と呼ばれるとして、では身体的な理由が元で本当はできるかもしれないのに、そこにたどり着けない人は、『勇気のない人』ということになるのでしょうか。


この症状は緩和させたり、治したりしていくことができます。

性格の問題と解釈されて周りの理解が得られず、『先生の指示を聞かない悪い子』『勇気のない子』というレッテルを貼られたままのお子さんは相当数いると思います。

 

私の信頼している治療法は、『感覚統合』や、『フェルデンクライス』、これから学ぼうとしている『ジェレミークラウス』です。いずれも、身体感覚を利用して脳に働きかけることで症状を緩和させていきます。

 

PDAを知ったことによって私は、子供の行動には、全てに意味があることを改めて再認識しました。

 

 性格が悪いとか勇気がないとか、一般的に子供を形容する悪い言葉は、本質的には、当てはまる子供など一人もいないのです。


さちの本棚

上記のPDAに関する概説が述べてある本です。

しかし、英文・・・

早く日本にもこの概念が伝わってほしいです。


指導にあたって

当時、講師かなざわの1歳の息子がピアノで楽しそうに遊ぶ姿に感激しました。これは、その当時のかなざわにとってピアノは『楽しい』ものではなくなっていたからです。

 

人は本来、ピアノが楽しくないとか苦手だとは思いません。しかし、ピアノが苦手で楽しくないと感じ、結局は諦めてしまう人は多いのが現実です。それを変えたいという思いが、ピアノ教室を立ち上げる原点となりました。

 

お子様にピアノを習わせたい親御さんや、自分自身がピアノを学びたいと思っている大人の方々は、レッスンに何を期待されていますか?

私がピアノを習っていた当時は「上手い」ことが全てでした。

それは音大に入っても変わりませんでした。

 

しかし社会に出て「上手い」人に価値があるというわけではない、ということがわかりました。

それはとてもショッキングなことでした。

そこにたどり着けば上手くいくものだと思って努力していたからです。

これは勉強,就職に対する考え方と同じだと思います。

 

『上手い』演奏は目指しません。

ピアノレッスンそして練習というプロセスを通して『質の良い学び方』を学びます。

「結果」は、『学んだ』後に勝手についてきます。

練習、学びの質が良ければ自然と「上手い」演奏になるかもしれません。

 

 私が準備できるのは、まずは何度でも間違えられる、どのような弾き方でも批判を受けない、つまり「安全だ」と感じる環境を作り生徒さんが本来の力を出せるようお手伝いをすることです。

音楽は非常に歴史が深く人間の叡智が宿っています。

それを演奏する楽しさというのは格別です。

しかし、やり方を誤ると体を傷つけます。

 

私自身が、小学校高学年の頃から体の痛みに苦しめられることになりました。

30代を過ぎてからは治療法の確立されていないフォーカルジストニアという脳神経の難病を発症しています。

痛みや病気の発生はその取り組み方にありました。

 

努力や根性、厳しい訓練がもたらす弊害を、ジストニアをきっかけに始めたメソッド「フェルデンクライス」から学びました。

フェルデンクライスは脳の可塑性を利用した科学的なメソッドです。

動きを通して脳を活性化します。

 

根性論でなく、何か有名な教育書に書かれているからでもなく、ただ脳がどのようにしたら活性化するのか、よりよく学べるのか、それをフェルデンクライスは体験をもとに気づかせてくれます。

 

私の指導の源はそこにあります。

指導とは、その演奏を成しとげるための『新しい選択肢』を提示するものです。

『理想』はおしつけません。

一人ひとりに寄り添い、 その人らしい演奏を尊重します。

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