身体訓練法『フェルデンクライスメソッド』とは、『神経可塑性(かそせい)』を利用したメソッドです。
「可塑性」は「変化しうる性質」という意味です。フェルデンクライス氏は「神経可塑性」という言葉に、「不可能を可能にする」という意味も込めています。
例えば、私たちは、生まれてすぐには歩くことができません。周りを見渡したり、手で這ってみたり、足で地面を蹴ってみたり、転がってみたり、はいはいしてみたり、つかまり立ちしてみたり…。多くのプロセスを通ってようやく歩けるようになります。一方、他の動物は、生まれてすぐに立ったり歩いたりしています。
人と動物のもっとも大きな違いは、動物が大抵のことについて、生まれたときからできるようにプログラムされているのに対して、人は、最初は何もできず、環境によって長い期間をかけてそれを学んでいくという点にあります。
これが人の強みであり、弱みでもあります。
つまり、人の能力は環境に委ねられていて、その状態は固定されておらず、変化させることができるのです。
逆に言えば、環境が適切なものでなければ、歩くことさえできなくなる可能性がある。
それが人間です。
人にのみ委ねられた「神経可塑性」、これを用いて脳も含めた身体の可能性を広げていこうというのが「フェルデンクライスメソッド」なのです。